「今のパートだけだと、時間が余ってもったいない」
「もう少し収入があると生活に余裕ができるけど、今の職場は気に入っていて……」
など、余っている時間を活用したい場合や収入を増やしたい場合に、今の職場以外にもパートを掛け持ちしたいという主婦は大勢います。
ですが、パートの掛け持ちをするなら、掛け持ちにはメリットだけでなくデメリットもあり、場合によっては税金や確定申告といったお金の問題が生じることもあると知っておかなくてはなりません。
本記事では、パートの掛け持ちを検討している主婦に向けて、下記の内容を徹底解説していきます!
・主婦はパートを掛け持ちできるのか?
・パートを掛け持ちするメリットとデメリット
・パートの掛け持ち先としておすすめの仕事
・パートを掛け持ちする上での注意点
・パートの掛け持ちによって確定申告が必要になってしまう場合
収入が増えると思ったのに、手間が増えて税金を多く取られるようになってしまった……なんてことになるのはもったいないですよね。
そういった事態にならないよう、必要な知識や情報を丁寧にお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
主婦はパートを掛け持ちできる?
パートの掛け持ちはすべての職場で自由に行えるわけではありません。
パート契約とはいえ、現在の職場の就業規則はきちんと守らなくてはならないからです。
現代の日本では政府が主導して副業・兼業を促進しており、アルバイトやパートだけでなく、正社員の副業を解禁している企業も増えつつあります。
(参考:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改訂版)」)
副業や掛け持ちの制限は緩和されつつあるのですが、掛け持ちをしてもいいかどうかは必ず今の職場に確認しておきましょう。
今の雇用主に掛け持ち先とのシフトの兼ね合いなどを相談し、きちんとすり合わせておけば、後々の無用なトラブルを避けられます。
パートを掛け持ちするメリット
パートを掛け持ちすると得られるメリットは、主に以下の三つです。
・収入がアップする
・異なる職場で多様な経験ができる
・人間関係が広がり人脈を得られる
順に解説するので、どんな恩恵があるのかを確認しましょう。
収入がアップする
パートを掛け持ちすれば収入源が増えるため、その分総収入はアップします。
一つのパートでは手が回らなかった貯蓄ができるようになったり、金銭的事情で断念していた趣味を復活させたりできるようになるのは大きなメリットです。
子供がいる場合は、塾や習い事などで子供の教育にかけられるお金を増やせるというのもポイントですね。
また、収入源を増やしておくと、何らかのトラブルが起きて片方のパート先で働けなくなっても、収入がゼロになってしまう最悪の事態を避けられます。
異なる職場で多様な経験ができる
掛け持ち先として今のパート先とは違うジャンルの職場を選べば、一つの職場に勤めているだけでは得られないさまざまな経験を積めます。
現在のパート先で獲得できるものとは違ったスキルを手に入れたり、より幅広いキャリアの形成につながったりするチャンスは貴重ですよね。
また、仮に同じジャンルの職場で掛け持ちをしたとしても、職場によって違う細かなルールや業務内容の差を意識する機会になりますので、より専門的にスキルアップしていくきっかけにもなり得るでしょう。
人間関係が広がり人脈を得られる
掛け持ちをすると二つの職場で働くことになるので、より多くの人と出会う機会が得られます。
主婦をしながら新たな友人を作る機会は限られていますから、別の職場や業種での出会いは貴重な人脈を得るチャンスです。
別の職場で、替えの効かないような大切な友達になる人と出会えるかもしれません。
また、単に友人を作るだけでなく、さまざまな人とつながりを持っておくことは思いがけない相談事やトラブルを解決する際に役立つ可能性もあります。
パートを掛け持ちするデメリット
パートを掛け持ちするデメリットは、主に以下の二つです。
・労働時間が長くなる
・スケジュール管理が難しくなる
デメリットを理解するのも重要なので、こちらもしっかり確認していきましょう。
労働時間が長くなる
パートの掛け持ちは、今まで以上に働く時間が長くなり、体力的な負担がかかりやすいです。
特に収入を頑張って増やそうとすると、パートの場合は時給での支払いが大半のため、働く時間が伸びやすいです。
心身を休める時間をしっかり確保して、掛け持ちを続けられるような無理のないペースで働くことを意識することが大切になります。
スケジュール管理が難しくなる
掛け持ちをすると、二つの職場に通うスケジュールを自分自身で管理しなくてはなりません。
管理が甘かったためにシフトをブッキングさせてしまった、なんてことになると、職場に迷惑がかかるだけではなく自身の信頼も失ってしまいます。
また、自身の体調を維持するのもスケジュール管理の一つです。
無理な連勤になってしまわないよう、適度に休みを確保できるシフトにする必要があります。
主婦が掛け持ちするのにおすすめなパート先6選
ここからは、主婦がパートを掛け持ちする際におすすめなパート先6選をご紹介します。
掛け持ちとはいえ、向き不向きや可能な働き方の幅といった特徴がありますので、それぞれしっかりと把握しておきましょう。
ファミレス・ファストフード
ファミレス・ファストフードのパートは、スキマ時間を活かしたい主婦におすすめです。
ファミレス・ファストフードには大きく分けてホールとキッチンの仕事があり、ホールなら食事の配膳や会計業務など、キッチンなら調理や洗い物などを担当します。
多くの店舗はシフト制で、パートの主婦以外にもアルバイトの学生やフリーターなど幅広い層のスタッフが働いています。
求人次第にはなりますが、週1日からOKだったり、1日あたり最低2、3時間からOKだったりとシフトに融通の利くケースが多いです。
そのため無理なく余った時間を活用した働き方ができるでしょう。
居酒屋
居酒屋のパートは、幅広い時間で働きたい主婦におすすめのパート先です。
居酒屋での業務は料理や飲み物のオーダー取り、食事の配膳、レジ業務やテーブルの片付けなど多岐にわたります。
また、キッチン業務を任された場合は、調理補助や料理の盛り付け、食器洗いなどを担当することになるでしょう。
多くの居酒屋は深夜まで営業しているため、他の業種よりシフトの自由度が高い傾向にあります。夜の方が時間の都合がつきやすい場合は時間を有効活用した働き方が可能です。
コンビニ
コンビニのパートは募集している店舗が多く、通勤のしやすい近場などから職場を選びやすいのが大きな魅力です。
ただし、商品の陳列から公共料金の対応を含むレジ業務、店内の清掃など、最初に覚える仕事が非常に多いです。
そのため、未経験からの応募の場合、週に1日のみといった短時間のシフトを組んでもらおうとしても通りにくい傾向があります。
また、コンビニの場合、異なる会社のコンビニ同士での掛け持ちは禁止されている場合があります。今のパート先がコンビニの場合は、雇い主に確認しておいた方がいいでしょう。
コールセンター
コールセンターは顧客からの電話に対応する仕事がメインで、体力的な負担の少なさから掛け持ちに向いたパート先です。
シフトも平日の朝から夕方にかけてのことが多く、空いている時間を活用しやすくなっています。
また、学生を含む幅広い年齢層が働いている業界なので、思いがけない人間関係の広がりも期待できます。負担が少ない割には給料の高い職種なのも嬉しいポイントですね。
家庭教師・塾講師
家庭教師・塾講師は平均的に時給が高く、短い労働時間でも一定の収入を得やすいパート先です。
家庭教師・塾講師は、生徒の受験対策だけでなく、普段受けている授業の理解の手助けを行う場合もあります。そのため専門的なスキルが必ずしも必要な仕事ではありません。
また、シフトは一週間のコマ数が限られているため、曜日や時間帯まで固定した形で組まれる場合が多いです。
あらかじめ働ける時間を希望しておけば、自分の都合に合ったシフトを用意してもらいやすいというメリットがあります。
データ入力
データ入力はインターネットが使える環境を必須としますが、負担が少なく掛け持ちでも継続しやすいパート先です。
主な業務としては、雇用主が用意したフォーマットに売り上げや顧客情報などのデータを順次入力していくものとなります。
デスクワークのため肉体的負担が少なく、場合によっては在宅で完結する職場もあるため、柔軟な働き方がしたい際には有力な候補となってくる職種です。
パートを掛け持ちする際の注意点
実際に掛け持ち先の候補を検討する場合、どんな点に注意する必要があるのでしょうか。
ここではパートを掛け持ちする際の注意点を説明します。
今働いている職場の就業規則を確認する
掛け持ちを検討する際は、今働いている職場の就業規則をきちんと確認する必要があります。
もしも今の職場で副業が禁止されていたら、そもそも掛け持ちの相談をしても断られてしまうでしょう。
一般的に副業の禁止は、長時間労働の防止や本業に支障をきたすような事態の防止、機密情報漏洩の防止など、さまざまな理由があって定められています。
単にお願いするだけでは許可されないケースもありますので、事前に調べてから掛け持ちを検討しましょう。
体調やスケジュールの管理を意識する
パートの掛け持ちをする際は、どちらの職場にも迷惑をかけないよう体調やスケジュールをきちんと管理する必要があります。
シフトの重複を避けるのはもちろん、どちらの職場に行く日なのかがごっちゃにならないように日程を把握しておきましょう。一般的なスマホのカレンダーアプリやスケジュール管理アプリを活用すれば、日程管理のミスを減らせます。
また、二つの職場のシフトを綺麗に分けられたとしても、明らかに無理のある連勤などは入れないようにするのが無難です。体に負担をかけすぎて体調を崩してしまえば、どちらの職場にも迷惑をかけてしまいます。
自分の休む時間まで意識しつつ、余裕のあるペースを維持するよう心がけましょう。
合計収入額に注意する
二つの職場から得られる合計収入額によっては、今まではかかっていなかった住民税がかかるようになったり、扶養から外れてしまったりする場合がある点にも注意しましょう。
一般的には「100万の壁」「103万の壁」「106万の壁」「130万の壁」といった形で呼ばれるこれらは、整理すると以下の内容となります。
・合計収入額が100万円を超えると住民税の支払いが発生する
・合計収入額が103万円を超えると所得税の支払いが発生する
・合計収入額が106万円を超えると社会保険料の支払いが発生する
・合計収入額が130万円を超えると扶養から外れる
また、これは就業先の規模感によって数字が変わるケースがあり、従業員51人以上の企業に勤めている場合は、合計収入額が106万円を超えた段階で扶養から外れてしまいます。
収入額を増やしたい際は、現状からどの程度増やすとこうした「壁」に到達してしまうのかを考えておくことが大切です。
(参考:NHKニュース「103万の壁って?106万、130万も…違いは?年収の壁を詳しく」)
(参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」)
確定申告が必要になる場合があると理解する
パートの掛け持ちによって収入が増加すると、場合によっては確定申告が必要になります。
一般的にフリーランスの人や個人事業主の人が行っている印象が強い確定申告ですが、主婦でもパートによって得る収入額次第では行わなくてはなりません。
詳しくは後述するので、自分がこれから先当てはまる可能性があるかを確認しましょう。
パートを掛け持ちして確定申告が必要になるケース
パートを掛け持ちして、以下のケースに当てはまった場合は確定申告が必要となります。
順に解説するので、しっかり確認しましょう。
合計年収103万円以上かつ掛け持ち先の年収20万円以上
パートで得ている給与所得の合計が103万円かつ、掛け持ち先(収入が少ない方を指します)から得ている収入が年間で20万円を超える場合は確定申告が必要です。
(参考:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)
このケースに該当する場合は、収入が多い方の職場で年末調整を行った後に、収入が少ない方の掛け持ち先の収入を別個に確定申告する必要があります。
合計年収が103万円を下回っている、または合計年収が103万円を超えているものの掛け持ち先の収入が20万円を下回っている場合は確定申告の必要はありません。
ただし、確定申告をすれば源泉徴収されていた所得税の還付を受けられるケースがあるので、余裕があれば確定申告をしておきましょう。
合計年収103万円以上かつ年末調整をしていない
パートで得ている給与所得の合計が103万円以上かつ年末調整をしていない場合は、確定申告が必要です。
通常、掛け持ち先の年収が20万円を下回っていて、働いている職場の収入が高いほうで年末調整をしていれば確定申告の義務は発生しません。
年末調整によって、会社が正確な納税額の申請を済ませてくれているからです。
しかし、年内にパートをすべて辞めた場合や、年末調整の書類を出し忘れてしまった場合は、正確な納税額の申請が行われていないため、個人による確定申告の義務が発生します。
思いがけないトラブルがあって辞めるしかなくなったなどの事情がない限りは、いずれかの職場で年末調整を行ってもらいましょう。
給与以外での所得が一定額を超えている
合計年収が103万円を超えていなくても、副業扱いとなる収入が一定額を超えている場合は確定申告が必要となるケースがあります。
例えば会社とパート契約を結ばず、すべて在宅で完結する内職だけで所得を103万円未満に絞っていた場合、一見確定申告が発生しないように見えます。
しかし、受け取ったお金から経費を差し引いた額(=所得)が48万円を超えていると、確定申告をしなくてはならないのです。
知識のある方は、クラウドソーシングなどを利用した単発の仕事で得た報酬は、パートと異なり給与所得の扱いにはならないことをご存じかもしれません。
個人事業主として開業していない限り、こうした報酬として受け取るお金は、一般的には雑所得という枠組みに入ります。
(参考:国税庁「No.1500 雑所得」)
そして、この雑所得にも、合計額が一定以上に達すると確定申告の義務が発生します。
注意するべきは以下の2パターンです。
・給与以外での所得が48万円を超えている
・給与以外での所得が20万を超えていて、給与を含む合計所得が103万円を超えている
(参考:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)」)
一つ目のパターンは合計額が48万円を超えていれば確定申告の義務が発生するという単純なものです。どれくらいの額を稼ぎたいのか、実際にどれくらいの額が稼げそうなのかに注意しておきましょう。
また二つ目のパターンは前述した『合計年収103万円以上かつ掛け持ち先の年収20万円以上』の場合と同じ条件になります。単純に雑所得を抑えるだけでなく、所得の合計額にも気を付けなければなりませんね。
まとめ:注意すべきポイントを押さえれば主婦でもパートを掛け持ちできる!
パートの掛け持ちは、理由こそ人それぞれですが、多くの主婦が検討している働き方です。
パートを掛け持ちすれば、収入のアップや新たな経験を得られるといったメリットがありますが、同時に体力面やスケジュール面での負担が増えるなど、デメリットも発生します。
また、合計収入額の増加によって、さまざまな税金や扶養の問題、確定申告の義務も生じることがあるでしょう。
まずは、今の自分の働き方と掛け持ちしたときの働き方や収入を、よく比較しておくことが大切です。
その上で、パートの掛け持ちをするとなったときは、ぜひこの記事に書かれている注意点やおすすめのパート先を参考にしてみてくださいね。