パート勤めの主婦にとって、他の人はどれくらい稼いでいるのか、いくら稼ぐのが賢いのかなどはどうしても気になるポイントですよね。
実際問題、「他人の収入を聞き出すのは気が引けるし……」「目標額を決めようにも扶養や税金の問題がよく分からないし……」と悩んでいる主婦の方は大勢います。
そこで、本記事ではそんな主婦の方々に向けて、主婦のパートの平均収入額や、扶養を踏まえた理想の収入パターンを紹介します!
主婦のパートタイム労働は扶養と密接な関係があり、働きすぎると逆に損をしてしまうケースもあるので注意が必要です。
損をしないためにも、ぜひこの記事をチェックして、必要な知識や情報を手に入れてくださいね。
パートで働いている主婦の平均月収は?
日本におけるパートタイム労働者全員の平均月収は、101,854円(※)です。これは年収に換算すると約122万円になります。
(※)参考:厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報』
ただし、主婦の場合は全体的な平均額よりも収入が少なくなる傾向にあります。
理由としては、パートタイム労働者の中でも主婦は、家庭との両立のために労働時間が短くなりやすいからです。
またもう一つ、扶養控除などを意識して収入が低くなるよう意図的に調整しているという理由もあります。
詳しくは後述しますが、主婦はとにかく働き続けて好きなだけ稼げればいいわけではありません。
特殊な立ち位置にいるからこそ、収入を意図的にセーブするような働き方になる場合があるのです。
主婦はパートでどれくらい働いている?
日本におけるパートタイム労働者の平均月間総労働時間は79.2時間(※)です。
そして、出勤日数の平均は、13. 6日(※)となっています。
(※)参考:厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報』
ただし主婦の場合は、労働時間も収入額と同様に、全体の平均数値よりも短くなる傾向にあります。
その理由はやはり、家庭との両立のために時間を割く必要があったり、労働時間を短くして収入を調整したりしているためです。
なぜ収入や労働時間をセーブする主婦が多い?
収入や労働時間をセーブしている主婦は、家庭との両立のため、または夫の扶養を外れないためにわざと働き過ぎないようにしています。
パートタイム労働者というくくりの中には、契約社員やフリーターなどの、自分で生計を立てるために働いている人々も含まれます。
自分の生活を成り立たせるために働いている人たちは、正社員ではないものの働き方がフルタイムに近い場合も多いです。
しかし、主婦は家事の時間も確保しなければならないため、フルタイムでの勤務は難しいといえるでしょう。
また、時間の都合とは別に、夫の扶養から外れてしまわないように、自分の収入をセーブしている主婦もいます。
詳しい金額については後述しますが、収入が一定額を超えてしまうと税金がかかったり、社会保険に入らなければならなくなったりする可能性があるため、自身の働き方を調整しているのです。
ちなみにこの「扶養」、実は「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」という二種類が存在しているのをご存じでしょうか。
簡単に説明するのでチェックしてください。
税制上の扶養
税制上の扶養とは、配偶者控除や配偶者特別控除によって、主婦の所得税と住民税が控除されることです。
税制上では、その年の1月から12月にかけての収入を合わせたものが年収となります。これは掛け持ち先や、途中で辞めてしまったパートの収入も足して計算します。
この収入が一定の額を超えてしまうと扶養が外れ、所得税や住民税の支払いが必要になるのです。
一般的には年収150万以下が控除額の満額とされており、学生やフリーターなど親の扶養に入っている場合は年収103万以下までが扶養の範囲内になります。
うまく収入をコントロールできれば、税制上の扶養を活用して大幅な出費減を目指せますよ。
ただし、1円でも基準を超えると適用されないので注意が必要です。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養とは、配偶者の会社が用意してくれている社会保険の扶養に入ることです。
社会保険の扶養に入っていれば、国民年金や健康保険の保険料負担をなくせます。
これによって配偶者の税負担が変わることもないので、家庭の負担を大きく軽減できるでしょう。
ただし収入額が一定を超えてしまうと、社会保険上の扶養から外され、自分で保険料を納付する必要がでてきます。
あるいは、パート先の社会保険に入る必要が出て来るかもしれません。
実際の収入ではなく、平均月収をもとにして、年収が130万円を安定的に超えそうと判断されると扶養から外されるのも特徴の一つです。
パートの収入額で税金や保険はどう変わる?
扶養から外れてしまわないようにするには、収入をどれくらいに抑えればいいのでしょうか。
ここでは「●●円の壁」と呼ばれる、超えると支払い義務が発生したり控除がなくなったりする収入の金額について解説します。
年収100万円の壁:住民税
年収が100万円を超えると住民税の支払いが発生するようになります。
住民税が発生すると、働いて手に入れたお金すべてが手取りにはならなくなり、収入から住民税の金額を差し引いた結果が手取り額となります。
例えば年収が101万円になってしまった場合は、地域によりますが、住民税を支払うと超過した1万円分はほとんど残らないケースがほとんどです。
1万円分多く働いたのに手取り額がほぼ増えないのは、支払った労力に見合わないといえるでしょう。
なお、住民税がかかり始める基準額は各自治体によって異なるケースがあります。
あらかじめ自治体のサイトなどで調べておいた方がいいでしょう。
参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」
年収103万円の壁:所得税
年収が103万円を超えると所得税の支払いが発生するようになります。
日本では所得の基礎控除が48万円、給与所得控除が55万円分用意されています。
そのため103万円までは収入の全てが控除の枠内に収まり、所得税が発生しません。
しかし年収が103万円を超えると、控除される枠をはみ出た分にだけ所得税がかかります。
ただし、医療費控除や配偶者控除など、基礎控除と給与所得控除に加えて別種の控除を適応させられれば、年収が103万円を超えても所得税をかけられずに済むケースがあります。
自分がどんな控除を利用できるかは、あらかじめ調べておきましょう。
参考:NHKニュース「103万の壁って?106万、130万も…違いは?年収の壁を詳しく」
参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」
年収106万円の壁:社会保険の扶養が一部外れる
年収が106万円を超えると、会社の規模次第では社会保険の扶養から外れることになります。
具体的な基準として、厚生年金の被保険者数が51人以上所属している会社の場合は、この106万円の壁が適応されます。
扶養から外れた場合は、自身で厚生年金や健康保険の保険料の支払いを行わなくてはなりません。
一般的に、収入が106万円以上125万円未満のゾーンでは、最終的に残る手取り年収が106万円を下回ってしまい損だと言われています。
なるべく106万円を超えないか、超えるなら125万円以上稼げるようにしましょう。
ちなみにこの壁は、厳密には年収ではなく「月額賃金8万8000円を超えたかどうか」を基準として判断されます。
その判断に通勤手当や交通費は含まれないので注意してください。
参考:NHKニュース「103万の壁って?106万、130万も…違いは?年収の壁を詳しく」
参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」
年収130万円の壁:社会保険の扶養が全員外れる
年収が130万円を超えると、社会保険の扶養から外れることとなります。
年収が130万円以上、月収で換算すると10万8333円以上稼いでいる場合は、家族の扶養から外れて自分で社会保険に入らなければなりません。
これは106万円の壁とは異なり、どんな企業に勤めていても扶養を外れ、国民年金や国民健康保険の保険料の支払いが発生します。
また106万円の壁では計算に含まれなかった通勤手当や交通費は、今回は計算に含めます。他にも残業代や休日手当、不動産収入などすべての収入を含めて判断されるので注意してください。
参考:NHKニュース「103万の壁って?106万、130万も…違いは?年収の壁を詳しく」
参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」
年収150万円の壁:配偶者特別控除が減額される
年収が150万円を超えると、配偶者特別控除が減額されます。
年収が150万円以下であれば、配偶者(夫)の所得税を計算する際に38万円、住民税を計算する際に33万円をそれぞれ所得額から控除できます。
この控除できる金額が、年収が150万円を超えるにつれて段階的に減額されていくのです。
ちなみに配偶者の年収が高すぎても配偶者特別控除を受けられない場合があります。
一般的に、夫の年収が900万円を超えていたら、そもそも配偶者特別控除を受けられないため注意しましょう。
参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」
年収201万円の壁:配偶者特別控除がゼロになる
年収が201万円を超えると、配偶者特別控除が受けられなくなります。
具体的には、上述した「年収が150万円を超えると配偶者特別控除が段階的に減額されていく」という話の延長線上として、配偶者特別控除が減額されきってゼロになるラインが年収201万円となっています。
ちなみに、厳密には年収が201.6万円に達した時に、配偶者特別控除の金額がゼロになってしまいます。
一般的には201万円の壁といわれているので、配偶者特別控除を受けたい場合は気を付けましょう。
参考:freee「年収の壁を一覧でわかりやすく解説!今後の見直しについても説明」
年収はどの額を目指したらいい?
扶養から外れてしまう収入額を把握したら、「じゃあ具体的にいくら稼ぐのが効率のいいやり方なの?」という点は気になりますよね。
ここではパートとして働く目的ごとに、理想的な収入額のパターンをご紹介します。
扶養から外れず所得税も避けたい
最もお金が引かれない働き方としては、年収を103万円以内に調整する方法があります。
103万円を下回っていればすべての扶養から外されずに済み、所得税の徴収も避けられます。
また年金についても第3号被保険者という枠組みでの扱いになり、年金の支払いが不要となるので、極力手元にお金を残せるやり方です。
夫が自営業や個人事業主で収入を増やしたい
夫が自営業や個人事業主なら、扶養控除を考慮しなくてもいい環境なので130万円以内を目安に働く方法があります。
調整に失敗して年収が130万円を超えたり、収入が130万円を超えると見込まれたりすると、年金や社会保険など支払いの義務が一気に発生してしまう点には注意しましょう。
年金を支払って将来に備えつつ自分の貯金も作りたい
パート勤務を続けながら貯金できるだけの余裕が欲しい場合は、年収150万円を超えるのを目指しましょう。
一般的に、年収が150万円を超えていれば社会保険や各種税金を差し引かれても損はしないといわれています。
また、年収170万円を超えれば合計収支がプラスになり、支払い分を差し引かれても手元にお金が残り続けるようになります。
短い勤務時間のパートでやりがいを得る方法2選
勤務時間を短くすれば収入をセーブできますが、短い勤務時間ではやりがいを得るのは難しいです。
それでも楽しく仕事がしたいという人向けに、やりがいを得やすい仕事の選び方を説明します。
元々好きだったり興味があったりする仕事を選ぶ
自分のモチベーションが上がりやすい、または元々興味がある業種を選べば、短い勤務時間でもやりがいを得やすくなります。
収入を調整するために限られたシフトにしか入れないとしても、好きなことを仕事としてできるのなら楽しいですよね。
例えば、お喋り好きの人なら接客業、数字を触るのが好きな人ならデータ入力などが該当します。
誰しもきっと仕事として活かせる好きなものがありますよ。
スキルアップにつながる仕事を選ぶ
仕事を続けていく中で、自分のスキルとして伸ばせるものがあるなら、よりやりがいを得やすくなります。
例えば、IT関連など専門性を問われる仕事や、ネイリストや整体などのゆくゆくは資格の取得にもつながっていく仕事などが該当しますね。
スキルを持っておいて損はないので、自分の将来に役立ちそうだからという理由で仕事を決めるのもおすすめです。
まとめ:主婦がパートで稼ぐ収入の平均は月収約10万円で、扶養を意識して調整されている!
主婦がパートで稼いでいる収入の平均は、月収約10万円程度か、それよりも少ない額であることが多いです。
多くの主婦はフルタイム勤務をせずに、労働時間と収入を意図的にセーブしています。
それは家庭との両立や扶養との兼ね合いのためです。
しかし実際にいくらまでなら稼いでいいのか、いくら稼ぐのが効率のいいやり方なのかは、各家庭の事情や働く理由によって異なってきます。
税金や社会保険に関する各種扶養についてきちんと理解したうえで、働き方を考えていきましょう。
その上で、具体的にどの扶養を重視するのか、どんな生活を目指すのかについて考える際は、是非この記事を参考にしてくださいね。