職業欄にパートって書いていい?正しい書き方を雇用状況や仕事別にご紹介

職業欄にパートって書いていい?正しい書き方を雇用状況や仕事別にご紹介 応募・面接

日常生活の中で目にすることも多い「職業欄」ですが、パートをしている主婦の方や正社員として勤めている主婦の方も正しく記入することが求められます。

本記事では、職業欄について、記入する目的とパート・正社員などの雇用状況や仕事内容別の正しい書き方をご紹介します。
フリーランスや専業主婦の方に向けた内容もありますので、ぜひ最後までご覧ください。

職業欄とは

職業欄とは、その名の通り自分の職業を記入する項目です。

職業について国や機関が定めた正式な書き方はありませんが、基本的には総務省が制定した『日本標準職業分類』と、厚生労働省による『厚生労働省編職業分類表』を基準とすることが多いです。
日常生活では、金融機関の口座開設やクレジットカードの発行手続き、アンケートなどさまざまな書類やWebアンケートなどでよく目にすることでしょう。

職業欄に自身の職業を記入する理由は、「どんな仕事をしているかを知るため」「おおよその年収や月収など本人の収入や世帯収入を予想するため」などさまざまです。

職業欄にはその人の信用度を測る目的が備わっているので、正しく記入する必要があります。

職業・職種・業種の違いとは?

職業欄に適切に記入するために、まずは「職業・職種・業種」の違いを理解しておく必要があります。ここでは、それぞれの違いについて詳しく解説します。

職業とは

職業とは、生計を立てるための報酬を目的とした個人が行う仕事を指します。
いわゆる、人間生活を営むための「生業(ナリワイ)」という意味です。

総務省においても「職業分類において職業とは、個人が行う仕事で、報酬を伴うか又は報酬を目的とするもの。」(※1)と定義されていて、その人の肩書きを表します。

生計を立てるための代表的な職業は、以下のとおりです。

・公務員
・会社員
・個人事業主、自営業
・学生
・無職

(※1)参照:総務省HP「日本標準職業分類」

職種とは

職種とは、前述した職業をさらに細分化した仕事の種類を指します。
いわゆる、その人が実際に行っている「専門的な仕事内容」ということです。
職業に職種を追加することで、その人がどんな仕事をしているかが具体的にイメージしやすくなります。

具体的な職種は、以下のとおりです。(※2)

・法人、団体職員
・健康医療関係助手、医療・介護事務
・総務、人事、企画事務、一般事務、秘書、受付、総務、会計、コンピューター等事務用機器操作
・小売店、卸売店の店長、販売員
・福祉、介護の専門的職業
・理容師、美容師、美容関係サービス
・飲食物調理、接客

(※2)参照:厚生労働省HP「令和4年版 厚生労働省編職業分類表」

業種とは

業種とは、企業や個人事業主がどのような仕事を営んでいるかを指します。
いわゆる、どのような活動で企業や個人事業主が利益を得ているのかを判断する「事業内容」のことです。

日本標準産業分類では業種は大きく20項目にわけられています。

業種の代表的ものは、以下のとおりです。(※3)

・製造業
・電気、ガス、熱供給、水道業
・情報通信業
・卸売業、小売業
・金融業、保険業
・宿泊業、飲食サービス業
・生活関連サービス業、娯楽業
・医療、福祉
・公務

(※3)参照:総務省HP「日本標準産業分類」

パートとアルバイトの違いとは?

パートとして働いている場合、職業欄にパートと書くべきかアルバイトと書くべきか悩む方も多いと思います。
パートとアルバイトには、一体どのような違いがあるのでしょうか。

「年齢によって呼び方が変わるの?」「働く時間が短い人はアルバイト?」など、曖昧な認識の方もいるはずですので、ここでクリアにしておきましょう。

パートとアルバイトの違い

パートとアルバイトの違いに法律的な区別はありません。
一般的に、主婦はパート、学生や若者はアルバイトという認識が強いため誤解しやすいですが、どちらも法的には「パートタイム労働者」と呼ばれます。

「パートタイム労働者」は、正社員より1週間の所定労働時間が短い労働者のこと。

パートもアルバイトも労働時間や雇用条件は変わらないことがほとんどで、働き方を区別するために、雇用主が独自にパートとアルバイトという呼び方で区別していることが多いです。

状況別|職業欄に記入する際の4つの注意点

同じ主婦という立場でも、労働条件によって職業欄の書き方に違いがあることをご存知でしょうか?
配偶者の扶養内でパートをしている方や扶養を超えて本格的にパートをしている方、派遣会社やスキマバイトなどに登録してパートをしている方や専業主婦など、人によって働き方はさまざまです。

ここでは、パートをしている方や専業主婦に向けて、職業欄の記入方法や注意点を4つのパターンにわけて解説します。

扶養内でパートをしている主婦の場合

配偶者の扶養範囲内でパートをしている主婦の場合、職業欄に「主婦」と記入しても問題ありません。
しかし、先方から詳しい情報を求められた場合は、必要に応じてパートタイム労働者であることを回答すると良いでしょう。

詳しい職種の項目が用意されていない場合は「主婦」と回答しておけば大丈夫です。

扶養から外れてパートをしている主婦の場合

配偶者の扶養から外れてパートをしている主婦の場合、職業欄には「パート」や具体的な職業を記入します。
まとまった収入があるにもかかわらず誤った職業選択をしてしまうと、ローンの審査が通らなかったりクレジットカードの審査に落ちてしまったりする可能性があるので注意しましょう。

自分の労働状況に合わせた適切な職業を記入するのは、あなたの評価につながる大切なポイントです。

派遣社員の主婦の場合

派遣会社と派遣契約を結び、派遣された企業やメーカーで仕事をしている場合、その派遣先の企業から直接雇われているわけではありません。
この場合の職業欄は、会社員ではなく「派遣社員」と記入しましょう。

なお、この場合も必要に応じてサービス業や販売業など具体的な職種を記入できるようにしておくと安心です。

専業主婦の場合

専業主婦の場合、職業欄は「主婦」と記入しても良いですし、賃金が発生してないので「無職」と記入しても問題ありません。

主婦の選択肢がない場合は、無職を選択しましょう。

パートをする主婦におすすめの職業欄の書き方

前述したとおり、職業欄に国や機関が定める正式な書き方は用意されていません。
アンケートの目的や求められる情報に応じて記入方法が変化します。
特にパートとして働く主婦は、職業欄になんて書くべきなのか悩むことも多いのではないでしょうか。

ここからは、主婦に人気のパートをいくつかピックアップして、正しい職業欄の書き方をご紹介します。

事務

事務とは、書類作成やデータ入力などを行う営業事務や経理事務、総務事務や会計事務などのことです。
勤め先の会社に雇用されている場合の職業欄は、「一般事務」となり、必要に応じて「○○担当スタッフ」(例:経理担当スタッフ)などと記入します。

医療従事者

医療従事者とは、看護師や看護助手、歯科衛生士や歯科助手のことです。
ちなみに医療事務も医療従事者に該当します。
看護師や看護助手などは厳密に区別すると「職種」になりますが、日常的なアンケートの場合は看護師などと具体的な記入をしても問題ありません。

ただし、医療従事者は勤め先によって職業欄の書き方が異なる場合もあります。

国の援助によって運営されている国立病院に勤めている場合、職業欄の書き方は「公務員」です。
また、地方自治体によって運営されている都道府県立病院に勤めている場合は、「地方公務員」という書き方に変化します。

このように、勤め先によって職業欄の書き方が変化することは覚えておきましょう。

必要に応じて「看護師」や「歯科助手」「医療事務」などと伝え、知られたくないときや迷った時は「医療従事者」と記入することをおすすめします。

職業欄具体的な職種
国が運営母体の医療機関公務員看護師・歯科助手・医療事務など
地方自治体が運営母体の医療機関地方公務員看護師・歯科助手・医療事務など
私立病院医療、福祉業看護師・科助手・医療事務など
開業医医療、福祉業看護師・歯科助手・医療事務など

小売業

小売業とは、コンビニ・スーパー・ドラッグストア・書店・ショップスタッフなど、卸売業から商品を仕入れて消費者を対象に販売するBtoC事業のことです。
日常的なアンケートの場合、スーパーなどで働く方の職業は「小売業」と記入すれば問題ありません。

必要に応じて、レジスタッフなら「販売職」、品出しスタッフなら「在庫管理」など、実際に担当している業務について記入すると良いでしょう。

職業欄具体的な職種
コンビニやスーパーなどのBtoC事業小売業販売職・仕入・バイヤー・在庫管理など

宿泊業、飲食サービス業

飲食サービス業は、飲食店の調理スタッフやホールスタッフなどを指します。
そして、宿泊業は、ホテルや旅館などの宿泊施設で働く人を指します。

これらの事業に関連する方の職業欄は「宿泊業、飲食サービス業」(※4)となりますが、必要に応じて、実際に担当している業務に関連するものを記入してください。

職業欄具体的な職種
旅館、ホテルなどの宿泊施設宿泊業フロントスタッフ・コンシェルジュ・客室清掃など
ファミレスなどの飲食店飲食サービス業ホールスタッフ・キッチンスタッフなど

(※4)参照:総務省HP「大分類M-宿泊業,飲食サービス業 」

製造業

製造業とは、食品メーカーや自動車メーカーなどの原料を加工して商品を生産する事業です。
間違いやすいポイントですが、食品メーカーや自動車メーカーなどの企業と直接的に労働契約を結んでいる正社員の場合、職業欄は会社員となります。
そして、パート労働者は「パート社員」や「パート」と記入します。

製造業も必要に応じて、「製造」や「生産管理」などと記入すると良いでしょう。

教職員

教職員の場合は医療従事者と同様に、勤め先によって職業欄の書き方が変化するので注意が必要です。
公立の学校に勤めている場合は「地方公務員」と記入します。

日常的なアンケートなどの場合だと「学校職員」という書き方でも問題ありませんが、安定した収入があるかを判断される住宅ローンなどの契約書や申請書などの場合は「地方公務員」や「教員」などと具体的に記入しましょう。
ただし、国公立の学校で非常勤講師といった非正規雇用で働いている方は公務員に該当せず、「教育、学習支援業」となるため注意が必要です。

また、学校法人などの私立の学校に勤めている場合も「教員、学習支援業」に該当します。

職業欄具体的な職種
文部省管轄の公立学校地方公務員教員、助教、事務職など
法人が運営する私立学校教育、学習支援業教員、大学職員、事務職など

自営業

自営業とは、企業などと雇用契約を結ばずに、飲食店や専門店などを自分で事業として展開している方のことです。
法人を設立して自らが代表者として責務を担うほか、後述する個人事業主と同様に事業を行う方もこちらに該当します。
ざっくり言うと、会社経営者のようなイメージです。

自営業の場合、一般的な職業欄の書き方は「自営業」で問題ありません。
必要に応じて「飲食店経営」「美容院経営」などと記入すると良いでしょう。

個人事業主

個人事業主は、税務署に開業届を提出している人を指す、税法上の呼び名です。
企業に所属せずに企業と業務委託契約を結んで案件ごとに報酬を受け取ります。
このような個人事業主の方は、日常的なアンケートなどであれば「自営業」と記入しても問題ありません。

詳しい仕事内容を求められた際に、ライターやコンサルタントなど具体的な職種を必要に応じて回答すれば大丈夫です。
ただし、確定申告の場合は個人事業主やフリーランスなどと記載すると、税務署などから確認が入ったり税金を追加徴収されたりすることがあります。

このような事態を未然に防ぐためにも、税務署がどのような仕事をしているのかイメージしやすいように、具体的な仕事内容を日本標準職業分類(※5)から探して記入すると良いでしょう。

(※5)参照:総務省HP「一般原則」

フリーランス

フリーランスとは、税務署に開業届を提出せず、企業とも業務委託契約を結ばずに仕事をする人を指します。
フリーランスも日常的なアンケートなどであれば、職業欄に「フリーランス」や「自由業」と記入しても問題ありません。
ただし、開業届や確定申告などに記入する際は個人事業主と同様に、日本標準職業分類(※6)の中から該当するものを選択して記入しましょう。

なお、確定申告や開業届を記入する際の注意点として、複数の案件をこなしている場合は全ての仕事を回答する必要があります。

▼日常的な書類やアンケートの場合

職業欄具体的な職種
自営業の場合自営業飲食店主・小売店主など
個人事業主の場合自営業ライター・コンサルタントなど
フリーランスの場合フリーランス・自由業ライター・コンサルタントなど

▼確定申告や開業届などの場合

職業欄具体的な職種
自営業の場合飲食業・居酒屋業・移動販売業・飲食店経営
個人事業主の場合ヨガインストラクター・ピアノ講師・美容師・不動産仲介など
フリーランスの場合ライター・デザイナー・コンサルタントなど

(※6)参照:総務省HP「一般原則」

まとめ|専業主婦もパートさんも職業欄の正しい書き方をおさえておこう

本記事では、パートをしている主婦や専業主婦の方の職業欄の書き方を、職業・職種・業種の違いやパートとアルバイトの違いなどとあわせて解説しました。

適切な記入をするためには、日本標準職業分類(※7)から自身の仕事に該当する職業を選択し、必要に応じて厚生労働省編職業分類表(※8)から具体的にイメージしやすい職種を選択することが重要です。

自身の適切な職業や職種をあらかじめ把握しておくと、いざというときに役に立つことばかりなので、この機会にもう一度、自分の職業や職種について調べてみてはいかがでしょうか。

(※7)参照:総務省HP「一般原則」
(※8)参照:厚生労働省HP「令和4年版 厚生労働省編職業分類表」

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